父と私は、私が小学二年生の時に魚釣りを始めた。家から離れた河口でのハゼ釣りは初めてだった。母と姉も来て釣りの様子を眺めていた。その河口には多くの釣り人が居り、時折釣り船が往き来していた。秋口の午後でとても天気の良い清々しい日だった。夕方の日差しが水面に反射して、それは美しい光景だった。
私はまだ仕掛けを投げることができず、父に投げてもらい私がリールを巻いて仕掛けを動かした。父は自分の釣り竿で仕掛けを投げてはリールで巻くことを繰り返していた。最初に私の方にアタリがあり、ハゼを釣り上げた時の感動は今も忘れられない。魚が掛かった時の手応えには本当に興奮した。その後、もう一匹また私の方に掛かった。結局、その日の釣果は私の釣ったハゼ二匹だった。バケツに海水を入れて家に持ち帰った。
母がフライにしてくれて、初めて自分で釣った魚を食べた時は感動したものだった。私は、父が上手く投げてくれたから釣れたんだと言い、父は私のリールの巻き方が良かったからだよ、と言ってくれた。
その後も日曜日になる度に私は父と釣りに出掛けた。そんな休日は私が中学二年生くらいまで続き、高校生や大学生の時も時折、父の釣りに付き合った。私が大学生の頃、夏休みに父と釣りに行った時「自分の釣りに付き合ってくれる良い息子だなあ」と言っていたことが思い出される。
二〇二〇年十一月十日十二時七分

