抜糸

その後順調に回復し、退院日が決まったので抜糸をすることになった。開胸した傷は、喉仏下あたりから、みぞおちくらいまであった。看護師が、開胸部分に張ってあった強力なガムテープのようなものを剥がし、太い釣り糸のようなステッチをパチン、パチンと音を立てながら少しずつ切って取り除いていった。時々、鋭い切り傷のような痛みがした。

ステッチを外し終わると、体外用心臓ペースメーカーの体内に埋め込まれたワイヤーを抜いた。私は針金のようなものがほんの少し体に入っていると思っていたが、全く違ってとても長い物が入っていた。

そのワイヤーを抜くときに、看護師の指示に従って呼吸をするのだが「息を吸って・はいて・吸って・はいて・吸って、そこで止めて!」との指示の後、クプクプクプという音と表現し難い不思議な気持ちと共に四十、五十cmはあるとても長い針金が体から出てきた。そんなに長い物が入っていたのかと驚いた。

こうして抜糸は無事に終わり、体に付いているものはカニュラと携帯心電図だけとなった。それらが外される退院の日が待ち遠しかった。

二〇十五年八月