記憶を辿る

大学生になり一人暮らしを始めた。その当時、私の住んでいたワンルームマンションの部屋には、スペースベッドといものが取り付けられていた。寝るときは天井から降ろして、起きたらまた天井の方に動かしておけるので、部屋をできるだけ広く使うことができた。

そのベッドで寝ている時、自分の心臓の鼓動がベッドを支える鉄柱に伝わり「カシャン、カシャン」と音を立て、時にうるさく感じられた。その時はみんなそうだと思っていたが違ったのだ、自分の心臓の鼓動が不自然に大きかったのだ。

また、ひどく暑かった夏におなかを長期間こわしてしまったことがあった。冷房で体が冷えただけだと思いあまり気にかけなかったが、今思い返すとなぜ病院にいかなかったのかと本当に悔やまれる。何ヶ月も調子が悪いなんて常識的に普通ではなかった。その時、既に体が異変を知らせていた。

一九九二年