Rare Case…

病室に移った日の夜十時を過ぎたころ、一人のドクターが診察に来た。君の病状は非常にレアなケースなのだが、予想外に回復が早くて驚いている、と最初に説明を受けた。

この説明を聞いたときは「?」だった。何がレアなのか分からなかったが、心臓弁や大動脈を同時に手術することは稀なのだろうと勝手に解釈し、手術の内容を確認した。

私「心臓弁は一つ置換し、もう一つも置換したのですか?」
Dr「もう一つの方は修復ですんだよ」
私「あと大動脈も置換したのですよね?」
Dr「良い質問ですね、大動脈は置換していないですよ」
私「あれ、大動脈も置換する予定だったと思いますが」
Dr「いや、やっていないはずです、念のため確認します。執刀医はとても腕が良い、彼の判断に間違いはないと思うよ」

私は大動脈の置換は必要なかったのだと理解し、手術も上手くいったことにとても安堵していた。「予想外に回復が早くて」という言葉が引っ掛かりつつも、ドクターからは何がレアなのかという説明はなく、そこで会話は終わった。

その時は “高安” という言葉を聞かされるとは想像もしていなかった。

二〇一五年八月