小学生六年生の修学旅行は、季節の良い五月に行われた。一泊二日の旅行の行き先は会津若松だった。
一泊二日は短いが、十一歳だった私の中ではもっと長かったかのように記憶されている。卒業アルバムを眺めていると、あの時はこんな洋服を着ていた、みんなで食べた夕食の場所はこのような大広間だった、など懐かしく思い出される。
私の中で印象深く記憶に残っていることは、白虎隊の話やお土産を買ったことだ。白虎隊の説明を受けた時、自分とあまり変わらない歳の子が切腹の練習をしていたと知った時は、恵まれた時代に生きている自分には想像すらできないその事実に衝撃を受けた。また、最終日にみんなでお土産をあれこれ選びながら買ったことはとても楽しかった。
お土産を買うということは初めてで、それを受け取った家族の喜ぶ顔を想像しながら何を買おうか選んだ。そんなことが純粋に楽しく嬉しかった。白虎隊の説明や劇を見た後でもあり、私は、木刀や子供向けの木製の刀をお土産として買った。男の子の多くは皆同じようなものを買っていた。また、家族のために茶碗やキーホルダーを買ったりした。
会津から学校に戻り、先生の説明を聞かされた後、家に向かった。家の近くまで来ると、母が出迎えてくれていることに気が付いて、私は一目散に走って母の元に行った。私は、早くお土産を渡して喜ぶ顔を見たくて仕方なかったのだ。家でお土産を広げると、母は満面の笑みで、私が買い物上手だと褒めてくれた。
遠い記憶だが、思い起こせば昨日のことのように当時の街の雰囲気が心の中に広がり、気持ちが満たされる。
一九八二年五月