保育園

保育園に入園した初日は、私の人生で忘れることのできない日だ。

最初の日は、一日中保育園の先生にしがみ付いて泣き続けていた。とにかく悲しかった。きっといつも側にいたはずの母がいなくなった衝撃が大きかったのだと思うが、そのような記憶はあまり残っていない。なぜ泣いているのか分からないがとにかく力のある限りなき続けた。

そんな日が一日目で終わったのか、何日も続いたのかは覚えていない。とにかく先生にしがみ付いて泣いていた。その周りを囲むように何人も園児が集まって私を見ていた。その中のある女の子が「なんで泣いているの、そんなに泣くことないんだよ」と言ってくれた。その瞬間、私は天に救われたかのような気持ちになり、すうっと心が落ち着き、涙が止まった。その時の記憶は何とも不思議で、その後の人生の中で度々思い出している出来事だ。その女の子の顔はよく覚えていないが、何となく声は覚えており私の記憶の奥底に刻まれている。

四十年以上を経ても、保育園の建物の正面にはその当時の面影が残っている。たまにその建物を見ると、何とも言えない郷愁の感情が心を覆い尽くす。

一九七五年