ITUでは、看護師が付きっきりで看病してくれていた。できるだけ早く回復させるため、ITU 二日目に看護師数人で私をベッドから起き上がらせ、椅子に移動させた。私は、支えられながらベッドから立ち上がった瞬間に、強烈な乗り物酔いのような感覚とともに半分気を失いかけ、猛烈な吐き気に襲われた。
ひどい吐き気の刺激で涙が流れ続けていた時、とても若い看護師が私の手を握ってくれていた。私はあまりの辛さにかなりの強さで握り返してしまった。私は、sorry..dirty thingsと微かな声を発したが、その看護師は、そんなことを言わないで、私はあなたを助けたいの、と言ってくれた。そのことを思い出すと今も涙が出る。あの時、私が強く手を握り返したので、相当に手が痛かったのではないかと今も申し訳なく思っている。
ITUでは、他の患者で危険な状態を知らせるサイレンが鳴り、近くの医師たちが大慌てで十人以上集まってくる光景も目にした。そんな非日常的な状況だが、ITUの患者は、自らの苦しさから他の患者の状態を気に掛ける余裕は全くなかった。
看護師は、誰でもなれるような職種ではではない。愛情が深く人を救おうとする崇高な気持ちが強い人達で、私は敬意を払わずにはいられなかった。
二〇一八年十二月中旬