豪雪の中で

大学二年生になる直前、それまで住んでいたアパートからマンションに引っ越した。アパートからマンションまでは駅一つ離れた場所だった。

引っ越す日に両親が車で上京し、荷物を運ぶ手伝いをしてくれた。三月初旬のまだ肌寒い季節だったが、とても良く晴れた清々しい日だった。午後には荷物も運び終わり、新しい部屋で一息付いた。近くのコンビニで三人分のおでんとおにぎりを買って来て、みんなで食べた。大学はすでに春休みとなっており、私も車に乗って実家に帰ることになっていた。

夕方になる前にマンションから実家に向けて出発した。関越トンネルに入る前は、良く澄んだ夕方の空だったが、トンネルを抜けると景色は一変して大雪だった。私達は雪国で生まれ育っているので大雪でも驚くことは無いが、この時ばかりは、大丈夫だろうかと不安になる豪雪だった。

車のフロントガラスは外側から凍て付いてどんどん視野が狭まり、隙間から何とか見ながら運転する状態だった。スピードが制限されており、皆ゆっくり走っていた。外を見ていると一台、そしてまた一台と、路肩で止まってしまう車もあった。

止まった車は、瞬く間に雪だるまのように雪に埋もれていった。この時は、もし止まってしまったら命は大丈夫だろうか、と真剣に恐怖を感じた。父は豪雪地帯の運転には慣れており、幸い車が故障することなく難を逃れた。実家近くの高速道路出口を降りた時は三人で本当に安堵した。

この時の出来事は今も鮮明に脳裏に焼き付いている。

一九九〇年初頭