初めてのスキー

スキー場に行くのは初めてだった。スキー経験のある生徒も多く、初心者の私は不安もあったが、三日間あれば何とか滑れるようなるだろうと思っていた。当日は、スキーウェアを着て大きなカバンを持ち登校した後、観光バスで向かった先は六日町ミナミスキー場だった。

スキー場に着くと、冬の青空の下、真っ白で広大なゲレンデが一面に広がっていた。私は六~七人の初心者グループで、体育の先生が指導員だった。スキー板の履き方を教わった後、スキーを履いた状態で方向転換をする方法を習い、ゲレンデの一番下の最も緩やかな場所で転ぶ練習をした。怪我をしないために上手に転べるようになることはとても大切な事だと教わった。

初歩的な事を教わった後は、足をハの字に広げて滑る一番基本的なボーゲンの滑り方を習った。体重のかけ方やストックの使い方を何度も練習した。先生は、ボーゲンが上手にできればどんな斜面でも滑って降りられる、と教えてくれた。そして、緩やかな斜面に行くためリフトに乗ったが、白く染まった山々の景色が本当に美しかった。リフトを降りると、先生の後について、大きく蛇行しながらゆっくりと滑る練習を繰り返した。

初日を終え宿舎に戻り、夕食や温泉での入浴を済ませた後は、部屋で友達と昼間の話で盛り上がったりした。消灯になり、布団に入って目を閉じるとスキーをしている時のようにぐらぐら揺れているような不思議な感覚を感じながら眠りに落ちた。こうして緊張の連続だった一日が終わった。

二日目になると随分と慣れてきて、その日もボーゲンで滑る練習を繰り返した。昼食は、山の中腹にある展望レストランでカツカレーが用意されていたが、カツは半分以上がが固い脂身で私には苦手なメニューだった。午後は少し急な斜面に行き、最初は恐怖が先に立ったが、徐々に慣れてきて滑れるようになった。

最終日は、薄灰色の空から視界が悪くなるくらい雪が降っていた。最後は、ボーゲンではなく、板を揃えて滑る方法を先生が教えてくれた。フォームは綺麗ではなかっただろうが、それなりに滑ることができるようになった。降り続く雪の中を友達と競うように繰り返し滑って楽しんだ。

三日間のスキー授業はあっと言う間に終わった。みんなもっと滑りたくて、今度は自分達で滑りに来ようと話しながら帰宅の途についた。その後、高校時代にスキーに行くことは無かったが、一度でも大自然の中でスキーを体験できた事は忘れられない思い出となった。

一九八七年一月