私は中学・高校とバドミントンに明け暮れていた。大会の時は、家族に見に来られると緊張してしまうので、絶対に来ないで欲しいといつも伝えていた。今思えばあそこまで頑なに見に来ないで欲しい、と言う必要はなかった。
ただ一度だけ父と姉が、高校三年生最後の大きな大会を見に来ていた、と大会の終わった日の夜聞いた。私に分からないように隠れて見ていたという。その試合は県大会個人戦シングルスで、かなりの接戦だったが私は負けてしまい、ベスト4を失った試合だった。
その夜、試合の様子などを家族で団欒したが、父は私の試合の勝ち負けではなく「部員の仲間達が一生懸命に私を応援してくれていて、ものずごく感動した」と言っていた。私はその言葉を聞いた時、勝ち負けや技術云々ではない視点に温かみを感じた。
数多く試合をしたが、あの試合は自分にとって忘れることのできない試合の一つだった。そのような試合を父にも見せてあげられていた事は、幸いなことだったとしみじみ思う。
一九八〇年代後半