日々の大学生活

朝食はトーストを数枚食べてから下宿を出るか、早めに大学の学食に行き、八十円のかけそばやかけうどんを食べたりしたものだった。駅までは徒歩十五分ほどで、その行き帰りの道を歩くことも楽しかった。私は、高校まで自転車かバスでしか通学したことがなかったため、都会の電車に乗ることも新鮮だった。

大学では一時間半の授業一つを「ひとコマ」と呼んでいた。コマのある時間帯に決められた教室に行き講義を受けることになっていた。大学の講義は、教員が説明しながら黒板に数式を書き、それを生徒がノートに写すというスタイルだった。四年生になるまでは議論形式のものは皆無だった。教員は、講義によって教授から助手まで様々だった。今思えば、もう少し相互に話し合うような授業形式だったらもっと良かったのではないかと思う。

コマとコマの間の空き時間は、学食でサークルの仲間と話をしたり、食事をしたりした。学内には書店があり、頻繁に出入りして幾度となく購入した。夕方になると、サークルのメンバーの中には飲みに行ったり、遊びにいったりする人も多かったが、私は下宿に戻り食事を作ったり勉強したりすることが多かった。最初の頃は、その当時流行っていたビリヤードに行ったりゲームセンターでテトリスをやったりしたが、それも最初のうちだけですぐに飽きてしまった。

下宿の部屋に戻るとそこは驚くほどの静寂に包まれており、時間が止まっているかのようだった。そんな静かな雰囲気の中、望む勉強をできることに感謝した。連絡手段は、固定電話か手紙しかない時代で、たまに実家から送られてくる日用品や食材とともに添えられている手紙が心に染みた。また、ふっとした瞬間に感じる孤独や寂しさを紛らわすため、時に友人や家族と長電話をしたものだった。

学生時代の出来事で心に残る事はたくさんあるが、他愛もない日常の日々こそが本当の宝だったのかもしれない。

一九九〇年