喜びの再開

「もう会えないと思ったよ、でも会えて本当に良かった」と母は涙を浮かべながら言った。手術後初めての再会だった。母はかなり消耗していたが、話もしっかりできてひと安心だった。そして、母の明晰な頭脳が、病気以…

死線をくぐり抜けて

「峠は無事に超え、今のところ大丈夫」と姉から連絡があった。心臓の一部が壊死し、機能が二十パーセントくらい低下してしまったが脳に障害も残らず、リハビリで徐々に回復するとのことだった。集中治療室から一般病…

夜間の急患

病院に着くと、事前に母から連絡を受けていた医師や看護婦が入り口で待っていた。母は看護婦に支えられながら車を降りて病院に入って行った。 夜間の急患なので車は入り口に置いたままで構わないと看護婦に言われて…

薄暗い廊下

激痛が胸に走る数日前、似たような痛みで総合病院に行っており、その時は肋間神経痛と言われて安心していた所だった。しかし、二度目は激しい吐き気を伴い、今までに経験したことの無い耐え難い痛みだった。母は、ト…

時は流れ

母は、定年後に二年間それまで通り仕事を続けたあと、本当の意味での定年を迎えた。苦汁に満ちた長い道のりだったに違いない。長い戦いを終えた母の目には、苦労と経験に裏打ちされた深い温かさが溢れていた。 定年…