あとがき
母の話をノートに書き留めながら、母が生き抜いた戦中・戦後の時代に思いを馳せてみると、その貧さは今では考えられないものだった。「その時は辛いとか思うよりとにかく必死だった」と母は繰り返し言う。一方で、手…
母の話をノートに書き留めながら、母が生き抜いた戦中・戦後の時代に思いを馳せてみると、その貧さは今では考えられないものだった。「その時は辛いとか思うよりとにかく必死だった」と母は繰り返し言う。一方で、手…
母に対する父の態度は子供達に対するそれとは明らかに違った。 父は、母が言うあらゆることに対してまず反発して見せ、結局、後で母の言う通りにすることが多かった。父にとって母はどのような存在だったのだろうか…
五十年以上一緒に暮らし父を見てきた母の視点からは、冷静に見た上でそんな簡単に整合性が取れるわけではなかった。 「自分に都合の悪いことは一切言わず、都合の良いように変えた話が次々と口から出てくる。その時…
一面の真理が明らかになった七年前の夏は本当に暑かった。 あの時、私が父に言った事や父自身が言った事を、父はその後しばらくして忘れてしまったようだった。父は、何を言われていたのか、なぜ皆が怒っていたのか…
過去の出来事を整理していく中で、父に対する違った視点が見えてきた。 現在、父はアルツハイマーと診断されているが、脳のMRIを行ったときに医師は相当以前から脳が萎縮していた可能性がある、と言っていた。 …