巣立つ時

農家での住み込みは年季が明けた後に辞め、次は自分で生活していくため呉服問屋に住み込みで働くことを決めた。筏の思い出を胸に巣立った時だった。 もともと接客業を望んでいた母には、服を売ったりする仕事は向い…

筏の思い出

母は、満足には教育を受けることができないまま義務教育を終えると、すぐに住み込みで働きに出された。最初の住み込みの場所は実家からかなり離れた農家だった。 年季奉公のような労働形態で、前もって実家に賃金が…

鮒売

終戦後の食料事情はより一層厳しくなっていった。 配給が始まり、豆の粉やサメの肉、醤油などを貰ったが、それだけでは不十分で、祖父は鰻や鮒などの川魚を取ったりしていた。兄弟は鰻を料亭に、祖母は鮒を芸者小屋…

学校

母は弟を背中に負ぶって学校に行ったという。時にはその重さで後ろにひっくり返りそうにもなった。折角、学校に行くことができても避難訓練ばかりで勉強をあまりさせてもらえなかった。 「おしん」と言うドラマが一…

茶屋の姉娘

母は戦中の時代に生まれ、激動の世の中で幼少期を過ごした。母の育った家は茶屋を営んでいた。周囲はほとんど農家であったが、祖父は農業があまり好きではなく、生計を立てるために商店を始めたのだという。 家の玄…