保育園ではなかなか馴染めず日々、不安な気持ちで過ごしていた。ある時、みんなでしゃぼん玉を飛ばすという遊戯があった。
その日は、曇りで少し雨がちらついていた。寒くはなく少しじめじめしていたので、梅雨の時期だったかもしれない。
しゃぼん玉を飛ばす時になると、雨は上がっており曇り空のなか、辺りは明るくなっていた。園児たちが建物の軒下に少し窮屈なくらいの人数で集まってしゃぼん玉を飛ばし始めた。
私は、野球のボールより少し大きいくらいのしゃぼん玉を作ることができ、それが屋根の方に上手く飛んだ。それは他のどのしゃぼん玉よりも大きく、よく飛んだ。先生や他の園児たちが「うわぁー」と言っていたのが聞こえた。
しゃぼん玉は、屋根の上の方の木の枝に当たって弾けて消えた。まさにしゃぼん玉の歌のような光景だった。
すべてに自信がなかった私は、そのことが誇らしくてたまらなかった。家に帰ってからもその時の様子を繰り返し母に話した。
そんな些細なことが私には自信になり、それ以降、保育園に行くのが楽しくなったような気がする。あの時の雨上がりの明るさや匂いが今も記憶の奥底に眠っている。
一九七六年