私の保育園には、お昼寝の時間があった。そのため、保育園に入園すると昼寝用の布団を購入しなければならなかった。布団を入れる大きな袋のデザインへのこだわりは、私にとって譲れないことだった。
母は、すでに袋を用意していた。近くの店で買ったその袋のデザインは、今思えばとてもかわいらしく良いものだった。母は、十五歳から仕立てなども行う洋服店で住み込みの仕事をしていたため、服装などのセンスが良かった。
しかし、幼い私にはそのデザインの良さは理解できず、違うものが欲しいと駄々をこねた。その当時流行っていたアニメのキャラクターが良いと言い張って聞かなかった。母は、私が欲しいものを買って用意してくれた。きっと最初に母が買った袋は無駄になってしまったに違いない。
私の家は家計に全く余裕が無かった。私のわがままで無駄な出費をせざるを得なかったことをいまだに申し訳なく思っている。
母が最初に買ってくれた袋のデザインはオレンジがかった黄色の生地に黒のかわいらしい模様がデザインされていた。私が欲しがったデザインは、アニメのガッチャマンのキャラクターだった。
五十年も前のことだが、時折、なぜかこんな他愛も無い後悔をする。
一九七五年春