ふと小学生時代の卒業アルバムをめくると、六年生夏休み終わり頃の写真に目が留まった。それはPTAが主催した林間学校の催し物だった。県が運営する山間部にある「自然の家」で六年生全員が参加する一泊二日の小旅行だった。
写真に写っている光景のほとんどは記憶に残っていない。しかし、その時の雲ひとつない夜空の雰囲気や山の中の空気、少し暗く感じた体育館のノスタルジックな電灯の明かりをなぜかいつも懐かしく思い出す。
日中にオリエンテーションをやったり、夜はキャンプファイアをやったことなどが朧気に記憶にに残っている。キャンプファイアは何か劇のような事をやったが曖昧な記憶しかない。その時の私は、炎の光に吸い込まれていくような不思議な感覚を感じていた。
体育館に戻り、みんなに飲み物が配られた。瓶牛乳と同じ瓶でフルーツ味のジュースだった。私はそれがやけに嬉しかった。
今もそのような催しをやっているのだろうか。おそらくないだろう。体育館の古臭い白球電灯の記憶は、あれから果てしなく時が流れたことを再認識させる。四十年以上も前の古き良き時代を思い出しながら物思いに耽る。
一九八二年八月