ドジョウ

小学一年の秋も深まり寒くなり始めた頃だった。私は学校の近くに住んでいる友達の家に遊びに行った。その子の家の近くには田んぼが広がっているため、用水路で魚を取って遊ぼうということになった。その子も生き物が大好きだった。

友達の家から少し歩いた所に田んぼが広がっており、農道を歩きながら魚がいそうな用水路を見て回った。水は透き通っており、水中が良く見えた。

水の中に魚はいないようだったが、水中用の網で何度も掬っていると、ドジョウが一匹網に入った。それは、初めての経験で友達と二人で大興奮だった。それから何度も網で掬っていると他にも何匹か取ることができた。

用水路の近くに柔らかい土の場所があり、その上に乗っかってみると、そこは底なし沼のような所だった。私は、長靴を履いていたのだが、足を取られゆっくり沈んでいくような感覚を覚え、ものすごく焦った。長靴に泥が入りそうになる所まで沈みかけたが、何とか脱出することができた。

その時は友達もそばにいたはずだが、記憶には残っていない。まだ六歳だったが、あの時は死ぬかもしれないと本気で焦った。今から半世紀も前の田舎となれば、そのような危険な場所はいくらでもあったに違いない。

辺りが暗くなり始めた頃、友達と別れて私はドジョウを一匹、家に持って帰った。私はそのドジョウを大きめのビンに水を入れ玄関に置いて飼うことにした。そのドジョウは雪が降る頃になっても生きており、ある朝、玄関に見に行くと、ビンの中の水が少し凍っており、ドジョウは腹を上にして半分凍った水の中で固まっていた。

私はドジョウが死んでしまったと思いとても悲しくて、ビンをストーブの近くに持って行き、氷を融かした。そうしたら、何と驚いたことにドジョウは再び元気に泳ぎはじめた。それを見た私は大喜びで家族に伝えた。それからも様々な生き物を玄関で飼ったが、家族は迷惑だったに違いない。

一九七〇年代後半