新たな視点

過去の出来事を整理していく中で、父に対する違った視点が見えてきた。

現在、父はアルツハイマーと診断されているが、脳のMRIを行ったときに医師は相当以前から脳が萎縮していた可能性がある、と言っていた。

母は引っ掛かっていたことがあるという。結婚後しばらくして、父の叔母にあたる人が「父は子供のまま大人になったような人間だ」と言っていたことを母は覚えていた。

もしかしたら父は生まれつき、もしくは幼少・児童期の辺りから知能的な面でなんらかの問題があったのではないか。

今まで想像もしなかったことだ。

今まで父の行動や言動には、違和感のある事がいくつもあった。一つの例として、まだ父が五十歳前後の現役の時に、出前のため電話したにもかかわらず何を頼むのかを忘れて電話を切ってしまい、子供の私が慌てて電話をし直して注文したことがあった。

私は、いつものように父をばかにして笑い話にしたが、笑い事では済まなかったのではないか。もし父が現在に生まれていたなら、幼少・児童期に特別な支援が必要な状態だったのではないか。

もし知能に何かしらの問題があったとしたならば、それにも関わらず、父は通常の能力を発揮することが当然とされる社会領域で生きることを強制され、誰一人として理解する者が存在しない状態でこれまで過ごして来たことになる。