水道橋

二度目の受験シーズンが遂に到来した。その年から共通一次試験は、センター試験になり制度が変更された。センター試験は目指した点よりは低かったが、選んだ国立大学の閾値には達していた。国立大学の二次試験前に私立大学の入試が始まっており、今回は東京にある私大を第一希望として受験することにしていた。私大は受験科目が少なく、自分の得意な科目に特化できたため、私に向いてた。

私は母に付き添ってもらい、一週間、水道橋にあるビジネスホテルに滞在し、数学科二つと応用数学科二つの合計四回の受験をした。滞在先から受験会場までは歩ける距離で、何度か会場まで歩いて行き方を確認した。

四回の受験の中で第一志望の試験の前日は目が冴えて眠ることができず、苦手だった英語の勉強をしていた。深夜になり、おなかがものすごく空いて来た時、母がケンタッキーを買って来てくれてとても助かった。頭が働いているからおなかが空くんだよ、との母の言葉が不思議と私を安心させてくれた。

私は、明け方近くまで勉強をしていたが、母は何も言わずに傍らに居てくれた。そんな光景が印象深く記憶に残っている。

一九九〇年二月