志望大学は県外で、受験前日からの宿泊が必要だったため母に付き添ってもらった。現地に向かう途中、母が予め調べてくれていた神社で合格祈願をした。その近辺にあった蕎麦屋で食べたきつねそばはとても美味しかった。そんなことまでしてもらっていながら、合格するのは無理だろうと諦めの気持ちが私の心の底にはあった。
宿泊所は小さなビジネスホテルだった。受験前日の夕食は、ホテル近くの街道沿いにあった少し高級感のある中華料理店で食べた。私は、高校近くの中華料理店を思い出しながら天津丼を頼んだが、そのレストランの料理も美味しかった。
試験当日、宿泊していたホテルが用意したお弁当を持って行ったが、量が足りず、試験中におなかが鳴って集中できなかった。そうでなかったとしても試験は出来なかった。試験が終わった日はそのホテルに宿泊して翌日に帰る予定だった。その日の夜、私は部屋の窓からいつまでも外の景色を眺めていた。
当然、結果は不合格だった。私は予備校へは行かず自宅で浪人することにし、今後どうすべきか止め処なく考え続けていた。
一九八九年三月