スキー授業の傍らで

一年生の冬は二泊三日のスキー授業があった。

私の高校では、先生方がスキーの指導してくれることになっていた。旅行に行く前の説明会では、過去の授業風景をビデオで見ながら行われた。驚いたのは、先生方が皆ものすごくスキーが上手だということだった。最初、学校の先生が指導できるのだろうかと思ったが、多くの先生が指導者レベルだという事が学校としても自慢だった。他の高校ではインストラクターを頼むことが一般的だった。

私はスキーの経験が全く無く道具を持っていなかった。板はスキー場が貸してくれるが、ウェアは自分で用意しなければならなかった。必要な物を買うためスポーツ用品店に入ると、中学時代の同級生でよく話をした女子生徒が、レジ係のアルバイトをしていた。中学を卒業してまだ一年も経っていないのに、別人のように大人っぽくなっていて驚いた。私はびっくりして声をかけた後、気恥ずかしくあまり話せなかった。その時の私は、その子に対して大人と子供ほどの精神年齢の差を感じ、まともな会話などできなかった。

その女子生徒は、中学生の頃、少し悪ぶったりしていたが性格の良い子だった。ちょっと見ない間に社会人に見える程に変貌していた。勉強ばかりでそれ以外のことを何も知らない自分とは住む世界が違うと感じ、どことなく寂しかった。

店を出ると外は夕刻で、雪が深々と降り続いており、少し赤紫がかった色の空が広がっていた。その当時の降り積もる雪と空の景色には、今では感じることのできない風情があった。

一九八七年一月