夏休み

四月に入学してから三か月という日々があっという間に過ぎて夏休みになった。その当時、夏休み期間は、七月二十五日から八月末までだった。

夏休みに入っても毎朝、部活で学校に行くため、休みという感じはあまりしなかった。朝、真夏の外から慌ただしく校内に入った時のいつもとは違う、冷やりとした静けさが好きだった。

部活は、朝九時から十一時半までで、終わった後は部員と中華料理店やパン屋でお昼を食べたりするのが楽しかった。その後は、学校の裏にある海水浴場によく行ったものだった。お盆頃までは、真夏らしい暑さが続き、クラゲもあまり出ないため海水浴には最適だった。部活で相当なトレーニングをした後にも拘らず、夕方近くまで海で泳いでいたのだから高校生の時の体力は相当なものだった、と今になって思う。

海水浴を終え、部室で着替えた後は、学校の前にある小店で飲み物を飲んだりして休んでから帰った。帰る頃は、まだ明るさが残る夕暮れ時で街全体が夕日に染まっていた。

家に帰ってからもバトミントンのことばかり考えており、部屋でグリップの握り方などをひたすら研究していた。夜になると外では、虫の鳴き声がとても美しく響いており、そんな雰囲気の中、家族みんなで楽しく夕食を食べたものだった。

その当時、都会は田舎と違い恵まれていると思っており羨ましかった。しかし、のちに当たり前だと思っていた毎日が、都会では決して手に入らない宝だった事に気が付き、そんな毎日が自分を育ててくれていたのだとしみじみ思う。

あの頃の夕日に染まる街の景色を思い出すと望郷の念に駆られる。

一九八六年七月