決戦の時

そしてついに受験当日が来た。中学校に入学してからはいつも、この日がいつか来てしまうのだ、とずっと思っていた。

高校入試はどこかに合格しなければ行く学校がなく、高校に入るための浪人も通常なかった。そのため絶対合格しないといけないというプレッシャーは大学受験よりもずっと強かった。競争倍率は一倍以上から二倍未満が大半で低いが、十四、十五歳と精神的にも未熟な年齢で、二、三校受験して絶対落ちてはならないというのはそれなりに大変なことだった。

私の記憶は、実際に試験が開始される直前、第一志望校の廊下で待機しているあたりから残っている。朝起きた時や受験会場に行くまでのことは全く覚えていない。天気は少なくとも雨が降っているような日ではなく晴れていた。受験する教室の前の廊下で二列になってずらっと座らされた。その教室は校舎の二階の部屋で窓から外が良く見えた。その部屋の前の廊下に筆記用具以外のカバンなどを置いてから、教室に入って試験を受けた。

試験の時にあせったのか落ち着いてできたのかなどの記憶は残っていない。断片的に文字を書いているような光景が少し残っているくらいだ。ただ、忘れられない鮮明な記憶は、国語の試験で前日に姉や母といっしょに見ていた漢字や慣用句と全く同じ問題が三つか四つ出たことに驚き、「しめた!」と思ったことを覚えている。得意な数学については全く覚えてなく、試験の途中からそれ以降の記憶は残っていない。

一九八六年三月下旬