自宅で静養し、日々目に見えて回復していた。普通に歩けるようになってきたし、傷口の痛みも少しずつ緩和していた。そんなある日、執刀医からレターが届いた。そのレターは執刀医から先天性の疾患や特殊な心臓疾患を専門に扱っているドクターへのレターだった。
そのレターは、「手術時、実際に見てみると大動脈の大きさに驚いた、中膜への浸透もかなり進んでいると思われる。組織検査の結果、高安病であることを確認した。この患者を診察してもらえないだろうか」という内容だった。医者から医者へ向けたレターなので専門的なことも多く完全には理解できなかったが、深刻であることは伝わってきた。
今更このようなレターが送られてきても戸惑うばかりだった。大動脈の置換は必要がなかったのだから、問題は無かったのではないのか。その時、初めて”高安”という言葉の意味と深刻さを知った。明るく希望に満ちた静養生活がオセロのように真っ白から真っ黒に変わった瞬間だった。
二〇一五年九月