夕日色のケーキ

私の両親は共働きだったため、保育園が終わったあとすぐに母が向かいに来れない時があった。そのような時は、他の園児が帰ったあと私一人だけ部屋で母を待つことがあった。

静寂に包まれた部屋で一人で居ると、保育園の先生がケーキを持ってきてくれたことがあった。そのケーキはショートケーキで、スポンジの間にパイナップルや桃がクリームと一緒に挟まっていた。他の園児は誰一人おらず、自分だけが特別なような気がしてとても嬉しかった。

食べてみるとクリームとスポンジ部分が合わさってとても美味しかった。電気の付いていない部屋には夕日が差し込んでいた。その光がケーキに当たっており、何とも言えない美しい色合いに見えたことを覚えている。

お母さんが来たよ、と先生に言われ部屋から出ると、廊下は夕日で黄金色に染まっていた。母が迎えに来たことの嬉しさとともにその廊下を走って行ったところで記憶は途切れている。

未だにその時の光景をスローモーションのように思い出す。

一九七六年