大冒険

五歳頃、保育園の友達と町の中心地まで歩こうとした事があった。その年齢にして見れば、それは大冒険だった。

私は虫取り網を持ち、その友達と市の中心地に向かい歩き始めた。 生き物を探しながら歩いたので遅々として進まなかった。いくら歩いても一向に目的地には着かず、次第に日が暮れ始めようとしていた。大きな川の近くまで進んだ時には辺りが暗くなり始めており、私達は怖くなって引き返すことにした。 その川迄でも大人の早歩きで三十、四十分は掛かる距離だった。

そんな時間になっても、何か生き物がいないか探しながら歩いていた。引き返している途中に大きな石があり、それをひっくり返してみると両手でやっと持てるくらいのウシガエルがいた。私は興奮してそのカエルを捕まえ、持っていた虫取り網に入れた。

私は、勝ち誇ったようにその大きなカエルを入れた網を肩に担いで歩いた。家の近くまで来た時には辺りは真っ暗で、家の玄関に辿り着いた時には夜七時を超えていた。母や姉がすでに玄関で待っており、母は驚いた顔をしながらもう少しで警察に連絡しようと思っていた、と言っていた。

私は、そんな親の心配など知る由もなく、取ってきたウシガエルを自慢気に見せて満足していた。五歳前後の子供だけで、そんな事をするなど今では考えられないが、昔は世の中が安全でそんな遊び方も出来た時代だった。

一九七六年