文章題

小学五年生の時に算数の教科書とは別に、担任の先生がA3のわら半紙にプリントされた文章題を配り、宿題にしたり授業中に使ったりした。

小学五年になる頃には、私は勉強もクラスの平均的なレベルをだいぶ上回っていた。しかし、その問題は、教科書よりも遥かに難しく、全く歯が立たなかった。最初、授業中にそのプリントをやったのだが、私は全く何も書くことができなかった。質問も何を言っているのか分からず、頭の中が空白になるような感覚で、心の底から悔しいと思った。

家に帰ると六歳離れた姉にそのプリントを見せ、何度も何度も教えてもらった。それでもなかなか理解できなかった。姉は、とにかく図で書くこと、そうすれば分かる、と繰り返し教えてくれた。私は、分からないことにイライラしたり泣いたりしたことも頻繁にあった。それでも姉は私に教えてくれた。

そんな日々が何日も続いたが、そのうち少しずつ分かるようになり問題も解けるようになっていった。宿題として家でやった時は満点近い点数が取れたが、授業中にテストとして行われたものは百点中、五、六十点くらいしか取れなかった。そのテストで間違ったところをまた家で姉に教えてもらう、ということを繰り返していた。

そのうち、自分でも文章題が解けるようになり、算数が楽しくなっていった。私の人生で勉強ということに関してはこの時は分岐点であったように思う。この時が無ければ私は今の人生を歩んでいなかっただろう。

そのプリントの授業は担任の先生が独自に行ったのか、学校の方針に従って行ったものなのかは分からなかった。しかし、他のクラスでそのようなプリントの話は聞いたことがなかったので、担任の先生が生徒のために独自に行ったものだったのかもしれない。その担任の先生と姉のおかげで私は算数が好きになった。

一九八一年