小学校

小学校の入学式の日はとても良く晴れた春日だった。その日は朝から母が化粧をし、着物を着ておりいつもと様子が違っていた。

家を出ると太陽の日差しが心地よかった。私は母に連れられて入学する予定の小学校まで歩いた。住む地区によって学校は決まっており、私の家は校区の一番遠くにあったので学校までの距離は一キロメートルくらいあった。まだ六歳になったばかりの私には歩くのがしんどい距離だった。

入学式の記憶は残っていない。式後、大勢の子供達がそれぞれ割り当てられた教室に案内された。その当時はベビーブームで子供がとにかく多かった。一クラス四十五名で十クラスあった気がする。学校の廊下は、まだ小さかった私の目には天井が高く、がらんとして遠くまで続いているように映った。私はその廊下を歩きながら、機械的な冷たさを感じていた。案内された一階の教室に入ってみると、綺麗な部屋で、窓から入る太陽の日差しが部屋全体を明るくしていた。

その教室で知能テストを受けたことを断片的に覚えているが、私は訳も分からず、テストはちんぷんかんぷんだった気がする。保育園から環境が変化したのだから不安と緊張を感じていたはずだが、そのような記憶は残っていない。

穏やかな太陽の日差しを受けながら、母と線路沿いの道をてくてく歩いていたことが印象深く思い出される。

一九七七年四月